転籍をしない方がいい理由
1 相続登記申請を受任すると司法書士は戸籍を遡ります 2 転籍されている方がいます 3 異なる市区町村でもコンビニ交付サービス 4 戸籍が必要な時は減っています 5 転籍時の費用や手続きは 6 いざ相続登記を申請しようとすると 7 結論
1 相続登記申請を受任すると司法書士は戸籍を遡ります
私は、相続登記申請を受任すると、依頼者(相続人)にはご自分の住民票(本籍地が記載されている)をご持参頂き、亡くなった方(被相続人)の戸籍((除籍謄本、改正原戸籍)謄本などは、代理人の私が市区町村役場に申請して取得するようにしています。
被相続人が10歳頃までの戸籍にさかのぼることは、依頼者(相続人)にとっては容易でないことが多いからです。
2 転籍されている方がいます
被相続人や相続人の中には、頻繁に転籍をなさっている方がおられます。
近隣市区町村への転居に合わせて転籍を重ねる方もおられます。
その理由は、戸籍謄本の取得が面倒だからのようです。
確かに、郵送での戸籍の取得には時間を要し面倒だと思います。
自動車などでの移動でも、そに距離は短いにこしたことはないでしょう。
3 異なる市区町村でもコンビニ交付サービス
しかし、本籍地と異なる市区町村に住んでいても「コンビニ交付サービス」の利用ができるようになっています。
事前に、マイナンバーカードの交付を受けた後、自宅ネットやキオスク端末からの登録申請が一度必要ですが、コンビニで他の市区町村の戸籍謄本も受け取れる仕組みが最近できました。
4 戸籍が必要な時は減っています
そもそも、戸籍謄本を必要とする機会は減っています。
個人情報の重要性が意識されるようになったからだと思います。
かつては、入学や就職の時に必要でしたが、今はほとんど求められなくなったと思います。
思いつくのは、公証人に遺言書を作成してもらうとき、パスポートを申請するときの他は、死後の手続きをするときだけです。
5 転籍時の費用や手続きは
同一の市区町村内の転籍ならば、その届出自体には費用はかかりません。
行政書士や司法書士に委任する必要もありません。
戸籍の係に直接申し出て、届出書を書けばいいので安直に可能です。
尚、添付書類として、政令指定都市の中でも別の区に転籍すると戸籍謄本が必要です。
市町村を跨ぐ場合は、もちろん戸籍謄本が必要です。
6 いざ相続登記を申請しようとすると
一方、亡くなった後相続登記の準備をする場面では、被相続人の10歳頃までの戸籍まで遡る必要があります。
それぞれの戸籍が一体として連続している必要もあります。
転籍していると、旧本籍地の戸籍は除籍と代わり、取得費用は450円~750円に変わります。
つまり、相続等の死後の手続きでは、転籍している度に実費だけで750円ずつ費用が嵩むことになり、時間も更に要することになります。
7 結論
要するに、本籍地を移転すること(転籍)の合理性は、今では、ほとんどないので、できるだけなさらないことをお勧め致します。
もちろん、新しい本籍地に思い入れがあるとか、今の本籍地は思い出したくもないほど忌むべき場合は転籍すべきだとは思いますが、心の健康の為に。