法定相続情報証明制度の利用をおすすめします

文責:司法書士 森 雅哉

最終更新日:2023年06月05日

法定相続情報証明制度の利用範囲

 誰かが亡くなり、相続手続をしたい時には、まず最初に法務局の登記官から法定相続情報一覧図の写しをもらいましょう。

 法定相続情報一覧図は、金融機関での預金等の相続手続、法務局での相続による移転登記申請、年金機構での遺族年金等の請求、相続税の申告等に利用できます。

法定相続情報一覧図がない場合

 もしも、法定相続情報一覧図がないと、戸籍謄本の束を提出しなければなりません。

 相続人であることと、相続人が他にいないことを証明する必要があり、通常は被相続人の出生に遡る戸籍が必要で、10通ほどの数になります。

 そして、それぞれの会社や役所で戸籍を読み取る必要があります。

 戸籍謄本の読み取りには専門的知識が必要ですが、金融機関の職員は、必ずしも相続の専門家とは言えません。

 そのためか、時間がかかります。

 10日程度かかることもあるようです。

法定相続情報証明制度を利用する際にかかる費用と時間

 法定相続情報証明制度を利用しようと、法務局に申し出をするのにも、一覧図の写しの交付を受けるのにも、費用はかかりません。

 また、添付した戸籍謄本等は返却してくれます。

 日数は、法務局の繁忙の程度によりますが、1週間ほどのようです。

申出の具体的な方法について

 戸籍謄本等を収集し、法定相続情報一覧図と申出書を作成し、管轄する法務局の登記所に提出すると、登記官はそれを確認し、法定相続情報一覧図を5年間保管し、一覧図の写しを偽造防止措置を施した専用の書類で交付してくれます。

 何通でも手数料は無料です。

相続手続きについての法制度

 法定相続情報証明制度は平成29年5月から,全国の登記所(法務局)で始まったものです。

 しかし、まだまだ一般に知られていないように思います。

 また、令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。

手続きの順序

 被相続人名義の不動産がある場合は、相続登記を申請なさると思います。

 かつては、司法書士等が、不動産について相続登記の委任を受けた時には、既に金融機関での相続手続は終わっていることが多かったのですが、法定相続情報証明制度が利用できるようになってからは、先ず、定相続情報一覧図の写しの交付を受ける方が合理的です。

 その後にする金融機関等での相続手続がより短時間で終わり、登記等の各種手続きを同時にお願いできるからです。

PageTop