相続税評価額の計算方法

文責:税理士 井川 卓磨

最終更新日:2023年08月03日

1 相続税申告における財産額の評価

 相続税とは、被相続人の財産について、相続した財産の金額に応じて納めなければならない税金のことをいいます。

 ここでいう財産の金額とは、相続が発生した日、すなわち被相続人の亡くなった日時点での財産の価値が基準となります。

 ここでは、相続税申告の際に財産の価値をどのように評価すべきかについて、代表的な財産ごとに分けて解説していきます。

2 不動産

⑴ 建物

 建物の評価額は、基本的には固定資産税評価額によって評価されます。

⑵ 土地

 土地の評価額の計算方法は、まずはその土地が「路線価地域」か「倍率地域」のどちらに該当するかによって変わります。

 評価したい土地が路線価地域・倍率地域のどちらに当たるかは、毎年公表される国税庁の路線価図・評価倍率表で確認できます。

 ① 路線価図・評価倍率表から都道府県を選択

 ② 「評価倍率表」から土地の種類を選択

 ③ 土地の市区町村を選択

 ④ 「町(丁目)又は大字名」から土地の所在地を探す

 ⑤ 「固定資産税評価額に乗ずる倍率等」の欄を確認する

 「固定資産税評価額に乗ずる倍率等」の欄に、「路線」と記載があれば路線価地域、数字が記載されていれば倍率地域です。

 ア 路線価地域の土地の評価

 路線価とは、道路ごとに設定された1㎡当たりの価格のことをいいます。

 路線価地域の場合、基本的には「その土地が面している路線価×その土地の面積」から評価額が算出されます。

 ただし、その土地が2つ以上の路線に面している場合や、土地の形状、大きさ、間口の大小等によっては、国税庁の定める補正率を乗じる必要があります。

 路線価地域にある土地の評価を適切に行うことは、かなり難易度が高いものですので、相続税に詳しい税理士に依頼することをお勧めします。

 イ 倍率地域の土地の評価

 倍率地域の場合、「固定資産税評価額×国税庁の定める倍率」にて算定されます。

 この倍率は、「固定資産税評価額に乗ずる倍率等」の欄に記載された数字のことです。

 ウ 小規模宅地等の特例

 土地については、要件を満たせば小規模宅地等の特例により、最大80%、評価額を下げることが可能になります。

 土地は、単体で大きな金額になりやすいので、小規模宅地等の特例を利用できるかどうかは検討すべきでしょう。

3 現金・預貯金

⑴ 現金の評価

 亡くなった当日に、被相続人が所有していた現金の金額がそのまま相続税評価額となります。

 被相続人のお財布に入っていた現金のみならず、タンス預金や貸金庫等に保管していた現金も対象になります。

⑵ 普通預金

 普通預金も亡くなった当日時点での残高が相続税評価額となります。

 この金額については、銀行から残高証明書を発行してもらい、相続税申告の際に資料として添付します。

⑶ 定期預金

 定期預金は、亡くなった日までについた利息も含めた金額が相続税評価額となります。

 この金額については、銀行から利息計算書を出してもらい、相続税申告の際に資料として添付します。

4 上場株式

 上場株式の評価額は、亡くなった日の最終価格、亡くなった日の属する月を含む直近3か月の最終価格の月平均額(4月15日に亡くなった方の場合、2月、3月、4月それぞれの月平均額)のうち、最も低い金額を株式の単価として計算します。

5 死亡保険金、死亡退職金

 被相続人が亡くなったことによって遺族に支払われる死亡保険金、死亡退職金も相続財産とみなされます。

 もっとも、どちらについても「500万円×法定相続人の数」までは非課税とされていますので、それを超えた部分について相続財産に加えて相続税の計算をすることになります。

6 相続税に関するご相談は税理士へ

 相続税評価額を適切に算定しなければ、相続税の払い過ぎや、過少申告になった場合は追加で税金を納めなければならないリスクもありますので、専門的な知識のある税理士に任せると安心です。

 相続税の申告をしなければならない方は、まず一度税理士へご相談ください。

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