相続で名義変更が必要となる場合

文責:弁護士・税理士 井川 卓磨

最終更新日:2023年09月01日

1 相続財産に不動産がある場合

 亡くなった方が、土地や建物を所有していた場合、それを相続で引き継いだ方は、登記名義をご自身の名義に変更する必要があります。

 特に、2024年4月1日からは、相続登記が義務化されますので、不動産を相続により取得した方は、3年以内に不動産の名義変更を行わなければなりません。

 期限内に相続登記をしない場合、過料10万円を課されるおそれがあります。

 また、このペナルティ以外にも登記名義の変更を行わない場合は、不動産を売却できなくなるといったデメリットがあります。

 相続人が不動産を売却して現金化するためにも、相続登記が必要となりますので、まずは名義変更をしなければなりません。

2 預貯金がある場合

 亡くなった方の預貯金口座がある場合は、相続人に預貯金口座の名義を変更し、解約・払戻し手続を行うことになります。

3 有価証券がある場合

 亡くなった方に上場株式等の有価証券がある場合、証券口座の名義変更等を行う手続きが必要となる場合があります。

4 生命保険がある場合

 亡くなった方が被保険者となっている場合は、亡くなったことで生命保険の支払いがなされますので、名義変更は必要ありません。

 ただ、亡くなった方が契約者となっているものの、被保険者とはなっていない生命保険に加入されていた場合、生命保険が相続人に引き継がれますので、名義変更が必要となります。

5 名義変更の手続きに必要なもの

 不動産や預貯金・有価証券口座等の名義変更が必要となる場合、代表相続人を決めることで手続きを進めることができる場合もありますが、遺産分割協議書がなければ手続き自体を進められないことがあります。

 遺産分割協議は、相続人間で揉めてしまうと、数か月から数年の時間がかかることもあります。

 そのため、遺産分割協議が完了する前に相続税の申告期限を迎える場合は、相続税を自らの預貯金から納税しなければならなくなるなど不利益があります。

 遺言書がある場合は、遺言書で名義変更手続きを進めることができますので、遺産分割協議が終わらずに名義変更ができないといった事態を避けることができます。

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