相続放棄に必要な書類
1 相続放棄は家庭裁判所での手続きが必要 2 被相続人の死亡の記載のある戸籍 3 申立人が相続人であることが分かる戸籍 4 被相続人の最後の住所地が分かる書類 5 相続放棄申述受理申立書 6 専門家に依頼する場合
1 相続放棄は家庭裁判所での手続きが必要
相続放棄のためには、家庭裁判所で相続放棄の申述を申し立てる必要があります。
この手続きを相続放棄の申述受理申立てといいます。
以下では、相続放棄の申述受理申立てをするために家庭裁判所に提出が必要な書類についてご案内します。
ただし、場合によっては、これら以外の書類が必要になるケースもありますので、ご注意ください。
2 被相続人の死亡の記載のある戸籍
被相続人(亡くなった方)の死亡の記載のある戸籍が必要です。
被相続人が亡くなっていない(相続が開始していない)と相続放棄をすることはできませんし、どの方の相続について相続放棄をするのかを明確にするために、この戸籍が必要になります。
3 申立人が相続人であることが分かる戸籍
申立人が相続人であることが分かる戸籍が必要です。
被相続人の相続人でなければ相続放棄はできませんので、この戸籍が必要になります。
被相続人の配偶者や、婚姻などで除籍されていない子などであれば、2の戸籍と同一であることもありますので、この場合には、2の書類に加えて新たに戸籍は必要ありません。
婚姻などで除籍されている子であれば、現在の自分の戸籍が必要になります。
この戸籍には、父母の欄に被相続人が記載されていますので、基本的には、申立人と被相続人の両方が記載されている戸籍までは必要になりません。
被相続人の子が先に亡くなっており、孫が相続人である場合(代襲相続の場合)、亡くなった子の死亡の記載のある戸籍と孫の現在の戸籍が必要になります。
他方、被相続人に子どもがいない場合、子どもがいても先に亡くなっており孫もいない場合、子どもがいても全員が相続放棄をした場合には、両親が相続人となりますが、被相続人の出生から死亡までの戸籍も必要になります。
すなわち、被相続人の出生から死亡までの戸籍で子どもの有無などを確認しない限りは、両親が相続人であることが確認できないため、これらの戸籍が必要になります。
ここで、両親も先に死亡している場合には、兄弟姉妹が相続人になります。
この場合には、両親が先に死亡していることが記載されている戸籍とともに、兄弟姉妹本人の現在の戸籍が必要になります。
被相続人が若くして亡くなっている場合には、両親に加えて祖父母の死亡していることが記載されている戸籍が必要になることがあります。
4 被相続人の最後の住所地が分かる書類
被相続人の最後の住所地が分かる書類が必要です。
これには住民票除票や戸籍の除附票といった書類が該当します。
相続放棄の手続きをする家庭裁判所には管轄が定められており、被相続人の最後の住所地(相続の開始地)を担当する裁判所に管轄があるため、この書類が必要になります。
通常は、上記の書類で最後の住所地を確認するのですが、場合によっては、住所が消除されているなどの理由によって、上記の書類では住所を確認できない場合があります。
そのような場合には、死亡届に記載された住所や、被相続人宛てに送付されている公共料金の請求書などで、被相続人の最後の住所地を明らかにしていく必要があります。
5 相続放棄申述受理申立書
相続放棄をする旨の申述の受理を申し立てる申立書が必要です。
この申立書には、被相続人や申立人の住所や本籍、出生日や死亡日などの情報、申立人が相続人であることを知った日、被相続人の遺産や負債の内容などを記載する必要があります。
この申立書は、適宜の様式で作成することもできますが、必要な事項を漏れなく記載するためには、裁判所で用意している書式で作成するとよいでしょう。
この書式は裁判所のホームページでダウンロードして入手することができます。
参考リンク:裁判所・相続の放棄の申述書(成人)
6 専門家に依頼する場合
相続放棄の手続きに失敗してしまうと、場合によっては多額の借金を引き継いでしまうおそれもあることから、専門家に手続きを依頼する場合もあるでしょう。
専門家に依頼する場合には、戸籍や住民票除票などは専門家に依頼して取得してもらうこともできますし、申立書も専門家に作成してもらうことができます。
上記のとおり、場合によっては、裁判所から追加で必要な書類の提出を求められることもあるのですが、そのような場合にも、専門家に適切に対応してもらうことができるでしょう。