遺産分割協議書を作成する際に気をつけること
1 相続人調査をしっかりとすること
遺産分割は、相続人全員でしなければ法的な効力はありません。
そのため、遺産分割をする際には、相続人が誰であるのかをしっかりと調査しなければなりません。
相続人の調査をしっかりとせずに遺産分割をしてしまうと、せっかく協議で合意が成立して遺産分割協議書を作成しても、無駄になってしまうばかりか、そのことが争いを生む結果にもなりかねません。
相続人が誰であるのかは戸籍を収集して確定することになりますので、必要な戸籍をしっかりと収集してから遺産分割協議書を作成する必要があります。
2 相続財産の調査をしっかりとすること
遺産分割をするにあたっては、分割の対象となる相続財産の内容を把握する必要があります。
相続財産の調査が不十分だと、遺産分割の対象から漏れてしまうおそれがあります。
遺産分割協議書の相続財産の記載から漏れてしまった財産は、その後の相続手続きができません。
特に、遺産分割で揉めていたケースであれば、後から発見された財産についても争いになる可能性がありますし、一度、作成した協議書が、再度、スムーズに作成できるとも限りません。
このような場合に備えて、「協議書に記載されていない財産」については、特定の相続人が取得するものとしておくこともできますが、そのような記載が他の相続人から、「遺産分割協議書に記載されていない財産が他にあるのではないか」という疑念を持たれかねません。
そのような疑念を持たれることで、再度争いとなってしまうこともあり得ます。
そのため、遺産分割協議書を作成するにあたっては、しっかりと相続財産の調査をしておくことが重要です。
3 相続手続きが確実にできる記載にすること
遺産分割協議書は、遺産分割の内容を証明する書類ですが、相続手続きに利用することが主な目的になります。
相続手続きには、不動産の名義変更手続きや預貯金の解約手続きなどがあります。
提出先では、遺産分割協議書で誰が該当の相続財産を取得することになっているのかを明確に特定しておくことが必要です。
不動産であれば、登記されている記録にしたがって、土地であれば地番や地積など、建物であれば所在や構造などを記載することが一般的です。
預貯金であれば、金融機関名や支店名、口座番号などで特定します。
これらには、いずれも相続人の実印で協議書に押印されていることが必要です。
これに加えて、相続人の印鑑登録証明書も添付することが必要になりますので、それぞれの相続人に提供してもらうことも忘れないようにしましょう。