相続人の調査方法

文責:司法書士 森 雅哉

最終更新日:2024年02月20日

1 相続人調査とは

 相続人調査をすべきと言われても、相続人が誰なのかは調査をするまでもなくわかっているから、相続人調査など大げさなことはしなくてもよいと思われる方も多いのではないでしょうか。

 しかし、被相続人の死亡日が古い等、相続に関する民法等の法律そのものを誤解する危険性があります。

 配偶者と子だけの相続等はとても一般的で、法律はご存知だとしても、書類上の具体的な手続きにかかる時間や能力にさしつかえる場合もあると思います。

2 相続人調査が必要な理由

 そもそも、相続人調査が必要な理由は、相続人が他に存在しないということを、銀行や法務局等に証明しなくてはならないからです。

 原則、戸籍の上での証明で足りますが、戸籍に直接関わる法律も改正が多く、亡くなった人の年齢が高いほど、その証明がより困難になります。

 「相続人は自分たちだけで他に存在しない」ということを、被相続人の生殖可能年齢まで遡った戸籍、除籍謄本をそろえて、具体的に証明する必要があります。

 

 また、預金など分けやすいものの場合は、法律が定めている相続人全員が、法の割合で相続人が取得したとしても将来問題が起こることは少ないと思いますが、不動産や自動車の場合は遺産分割協議をして、実際に相続する人を決め、協議書を作成する必要が生まれます。

3 具体的な相続人の調査方法

 相続人の調査方法は、本籍地のある市町村役場で戸籍、除籍謄本を請求することから始まりますが、転籍、分籍、新戸籍編制等が多いほど、手間と時間がかかり一層大変になります。

4 相続人調査は専門家に任せることもできます

 相続人調査を依頼する際、依頼先として考えられるのはまず司法書士が挙げられます。

 依頼された司法書士は、法務局から法定相続情報一覧図をもらう手続きを取ると思います。

 これによりほとんどの手続きで戸籍謄本等が不必要になります。

 特に被相続人が不動産をお持ちだった場合は登記申請が最後の手続きになるので、司法書士への相談が合理的です。

 一部の行政書士でも受任することがあると思います。

 相続税申告は税理士が専門家ですが、相続税が課税される場合には、税理士に任せることもあると思います。

 あらかじめ紛争が予想される場合は、弁護士に相談なさる方が近道かもしれません。

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